SINCE…2001.06.24


















©2001 minato



この世の終わり







死ぬ為に生きているのではないのだが。
明日が見えない、というのも少々辛い、これも事実。
無論、馬鹿妖怪の所為で、己の一生を終わらせようなどという、呆れた人の好さも持ち合わせてはおらず。
三代続いたこの呪を、今生(こんじょう)で終止符を打たせる決意に、一片の曇りも、無い。
それでも猶振り切れぬ、心の病巣。
終わりたくはないのだ、今は、まだ。終わって逝くこの体を、誰か、引き止めてくれ ――― 。







いくら呑んだところで、酒に酔える体質など、持ち合わせてはいなかった。
昼間、妖怪相手に開いた風穴が、未だびゅうびゅうと音を立てている錯覚に捉われ、一行から離れてこの店へ流れて来た。同じ宿場内。連れの者達には、何も告げずにふらり、と出て来た。そのことに、些かの罪悪感を感じないでもないが。
(ま、寝入りを起こすより、いいか。)
独り言を心内で吐いて、法衣姿の男が、手酌で波々と杯へ酒を注いだ。
「何さ、法師さま。一人で注がなくたって、あたしが注いでやるのに。」
階段を上がって来た女が、彼の居る部屋の襖戸を開けたところで、その所業を目に留め、言う。
その手には、銚子が何本かと、酒の肴が載せらた盆を手にしていた。
「いや、そなたが戻って来るまで待っていられませんでな。」
そう言って、弥勒は杯の酒を一気に喉へ流し込む。
「それにしたって、とんでもない店だよね。お客に自分で燗を作らせるなんざ。」
少し呆れたように、女が言った。年の頃は、十八、九といったところか。ゆるりと結い上げた髪へ、茜色の簪を飾っている。
「商売繁盛、良いことではありますな。」
「そうだけどさ。」
その中々に可憐なおなごとは、先程、町中で遭ったのが初対面。例によって例の如く、口説きに掛かった法師の言葉へ、素直について来たのが、この娘。
このような刻限に男に声を掛けられ、尚且つ酒場の階上の部屋へまでついて来るとは、弥勒が思ったよりも、世間を知っているようだ。
空になった彼の杯へ、先程の言葉通り、女が酒を注ぐ。
「そなたの名も、まだ聞いてはいませんでしたな。」
「名前なんか、要らないだろう。どうせ、刹那の関わりだ。」
弥勒が掛けた問いへ、女が悠然と答えた。
確かに、その通りである。
名前など、余計な言霊 ――― 却って、煩わしいだけ。
「法師さまは、旅をしているんだろ?家は、在るの。」
男の隣に腰を落ち着かせ、箸で肴をつまみながら今度は女が問うた。
「そのようなものは、生憎、持ち合わせてはおりませんよ。」
静かに、弥勒が答える。
「…そうか。あたしも、帰る家など、ない。」
ぽつり、と女が呟いた。理由は判らぬが、なるほど、自分について来たのは、そういうことか。
「宿無し同士、今夜は(ねや)が見つかって良かったね…。」
弥勒の肩に左腕の肘を掛けつつ、女が彼の顔を見上げて、笑う。
ずっと、出会った時から気になっていた。この、話し方。口調。誰かに、似ている。己の極近くに居る、誰か…。
「法師さま。」
不意に、怒気を含んだ女の声に、呼びつけられる弥勒。
「何、ぼっとしてんの?女口説いて、こんなとこまで連れ込んどいて。」
法師さま。
そう、何度目かに発せられた呼称に、ようやく、気付く。
「いや、すみません。そなたの美しさに見惚れていたようです。」
弥勒が、にっこり笑って、歯が浮く科白を並べてみせた。
「よく言うよ。あたしなんか、ちっとも見てやしなかったくせに。」
ふん、と鼻を鳴らして女がそっぽを向く。そんな態度さえ、似ている。あの、娘に。
どういうことか。何故、今、思い出すのだ。
ただ口調が似ているから、思い出しただけのことか?いや、声を掛け、返って来たその言い様に引き寄せられるように、掻き口説いてしまったのではなかったか…?
(否定出来ねえな…。)
どうしちまったんだ、俺は。誰かの…あの娘の面影を其処に見つけて、今、此処へこうして居るとでもいうのか。
「!」
また一人の世界へ思考が飛んでしまった弥勒の唇に、温かいものが唐突に触れた。眼下には、女の長い睫毛。
「だから、何処見てんのさ、って言ってんの。」
弥勒から唇を離した女が、にや、と笑って口を開く。隙あり、とでも言いたげに。
「積極的ですな、そなたは。」
うろたえる様子もなく、弥勒も微笑する。この程度のことに我を失ったり、目を白黒させるほど、無粋でも子供でもない。
「嫌いかい?積極的なおなごは。」
先程よりも艶めいた声音で、女が弥勒の首へと手を廻す。その彼女の背中を受け止める、弥勒。
「いいえ。嫌いどころか、有り難いばかりだが。」
ぐい、とその背中へ廻した手に力を入れて、自陣へと抱き寄せ、続ける。
「その目が、私ではなく何処を見ているのかの方が、興味がありますな。」
「!」
「そなたこそ、何処を見ている?」
薄い笑みを崩さぬまま、弥勒が女の目を見て問い掛けた。既に、その腕には力は込められてはいない。何時でも、女が抜け出せる状態。
「お見通しかあ。」
彼の胸に手を当てて体を離しながら、女がふう、と溜め息を吐いた。
そして、手酌で酒を注いだかと思うと、つい、と喉の奥へと流し込む。そしてまた、はあ~あ、と溜め息。
「良い仲の男と、喧嘩でもしましたか?」
「うん、まあ、そんなとこ。」
弥勒の図星を突いた言葉に、女が素直に頷いた。
「いけませんな、それで、かように男へなどついて来ては。」
「何、悟った坊主みたいなこと言ってんのさ。」
「一応、法師ですけどね。」
其処で、からからと女が笑う。その笑顔を見て、弥勒が思う。そういえば、あの娘がこんなふうに大口を開けて笑ったところなど…いや、大口どころか、笑顔そのものを、見た記憶が殆どない。
(また、珊瑚か…。)
他の女と一緒に居る時に、何故、一人の女の顔ばかりが浮かぶのか。いい加減、鬱陶しくもあった。
「でもさ~あ。」
再び弥勒の懐へ滑り込んで来て、顔を近付け、女が笑んだ。
「法師さま、いい男だったからついて来ちゃったのは、ほんと。」
やれやれ。これでは連れの男も苦労する、と余計な心配をしながら、弥勒も笑顔で返す。
「これは、光栄ですな。」
「で、法師さまが見てたのは、何処?」
今度はあなたの番よ、とでも言うような問いを、弥勒へと浴びせ掛ける。
沈黙。
「はっはっはっ。」
作り笑いの法師が、女を己の膝の上から優しく払って体を離した。しかし、間髪入れず、女が答えを急かして来る。
「誤魔化しても駄目だよ。」
「何処も見てはおりませんよ。」
「嘘。絶対、他の女のこと考えてた。」
素晴らしく鋭い女の勘というのを見せつけられて、弥勒が深く感心した。そして、口を開く。
「強いていえば…、見ていたのではなく。」
その声に、女が正座をしたまま首を傾げ、法師の二の句を待つ。
「浮かんで来て、消えない顔がある。」
真実、遠くを見るような眼差しを携え、その若い法師が静かに言った。







「おや、法師さま、お帰りなさいまし。」
宿屋の裏口で、奉公人が声を掛けて来た。夜番をしているらしい。
「ただいま戻りました。夜分に、ご苦労様です。」
法師らしい、相手を気遣う言葉を告げる、弥勒。
「?お一人ですか?」
不思議そうに、その夜番の男が言った。
いくらんなんでも、犬夜叉達も居るこの宿へ、お持ち帰りをするほど恥知らずではないのだが。
そう思いつつ、弥勒が答える。
「ええ。何か?」
「いえ、先程娘さんが出て行かれたので、私はてっきり法師さまをお迎えに行ったのかと…。」
「娘?どちらの?」
思わぬ男の言葉に、弥勒が聞き返す。
「長い髪を背中で結った…小袖を着ていらした娘さんですが。」
「珊瑚が?」
自問するように、弥勒が呟く。この夜更けに、一体何処へ?
「申し訳ありませんが、もう一度出掛けて参ります。」
弥勒が、再び裏口から引き返して行く。
「はい。お気をつけて。」
宿屋の男が、頭を下げて弥勒を見送った。







(若い娘が、この時分に何処をほっつき歩いてやがんだ?)
そういう娘を狙って、女を引っ掛けに出歩いていた自分のことは棚に上げ、弥勒が夜道を行く。
既に、時間は子の刻を回っている頃合だ。
野宿をしている時に危険なのは、妖怪と、山賊宜しい野盗達。
町中の深夜の宿場で悪事を犯すのは、酔っ払いの男衆共。
退治屋の珊瑚の腕があれば、まあ罷り間違ってもかどわかされることはないであろうが。
(にしたって、酔っ払いってのはタチが悪いからな…。)
一抹の不安を隠せずに、珊瑚の姿を捜す。すると、少し往来からは外れた暗い道の方から、言い争うような声が聞こえて来た。女の声に、複数の男のそれが絡んでいる。
その女の声は、言葉までは聞き取れないながらも、聞き慣れた、凛とした、鈴の()のような。
(珊瑚!?)
身を翻して、弥勒がその暗がりの方へと足を踏み入れた瞬間。
どが、ばき、ぐしゃ。
嫌な音が響く。
「珊瑚!?」
駆け寄ったその人影が、ゆっくりと弥勒を振り向いた。
「法師さま?」
涼しい顔をして其処に佇む若い娘の足元に、三人の男が、のびている。
「…これは?」
想像はつくものの、一応、弥勒が珊瑚へ問うてみる。
「ああ、なんか、向こうへ行って酌をしろってうるさくってさ。」
けろりとした口調で、珊瑚があっさりと答えた。
やっぱりな、と呆れたものの、安堵に胸を撫で下ろす弥勒。
「おまえは、このような刻限に何をしているのです?」
一瞬、自分を迎えに出たのかとも思ったが、その都合の良い解釈は、押し殺す。
「法師さまこそ、なんで此処へ?」
「私は、入れ違いにおまえが出て行ったと聞いて、」
「入れ違いって、法師さま、出掛けてたの?こんな時間、に?」
珊瑚の白い目が、弥勒を射抜く。薮蛇だった。
今夜は、路銀が結構な額あった為、男女に分かれて床を取っていたのだ。故に、弥勒が夜出掛けたことなど、珊瑚の知る範囲ではなかった。今の、今まで。
「ふうん。」
何がふうん、なんだか判らぬまま、そう言い放った珊瑚が弥勒へ背を向けてすたすたと歩き出す。
「おまえこそ、何処へ行くのです。」
彼女の後を追って、弥勒が隣へ並び掛ける。たった今危ない目(でもなかったが)に遭っておいて、宿へ戻る気は更々ないようだ。
「いいだろ、何処でも。ついて来るな。」
倦厭したような声で、珊瑚が弥勒の方を見もせずに言った。
「男を引っ掛けに行くなら、私が相手をしてやるが?」
「一緒にするな。」
今度は弥勒をちゃんと見据えて、(その代わり、睨みながら、だけれど)珊瑚が彼の戯言を切って捨てた。
無言のまま珊瑚が歩き続けるのを、これまた沈黙を守って、弥勒が後をついて行く。
「あのねえ、何処までついて来るの?」
我慢し切れず、珊瑚が振り返った。其処には、明らかに迷惑至極、という表情が見て取れた。
「だから、何処まで行くのです。」
大通りから道は外れてしまっているから、町中へ繰り出すのではないということは、先刻から弥勒も承知している。しかし、(よう)としてその行く先が知れない。
「…丘。」
観念して、珊瑚が、言う。
「は?」
「あれを、見に行くの。」
弥勒へは背を向けて、彼女の細い指先が小さく上空を指差した。それにつられるように、弥勒が空を仰ぐ。その顔へ降り注ぐは、闇をも切り裂くが如き、玲瓏とした青白い光。その源は、落ちて来るかと思わせる程にその身を膨らませた、清けき満月。
「これは、見事な…。」
「気付いてなかったの?」
あたしより早く、夜道へ出ていたくせに。
「全く、気付きませんでした…。」
昼に開いた風穴のことばかりが頭を占めて、これほどまでに光り輝く名月に、一欠けらも気付いてはいなかった。己の余裕の無さを、恥じる、弥勒。
「此処へ宿をとる途中に、よさそうな丘があったんだけど…。」
珊瑚が、弥勒の存在などどうでもいいというように、独り言を呟きながら、辺りを見回す。すると。
「あ。あの辺り。」
駆け出した珊瑚の向こうへ、小高く盛り上がった丘があった。周りに木々は無く、なるほど、空が絶景に飛び込んで来そうな、好位置だ。
「ふあーっ。」
珊瑚は、登り切った其処へ腰を下ろしたかと思うと、着物が汚れるのも構わず背中から倒れ、仰向けに寝転んだ。
「綺麗…。」
そう言って、一点に瞳を集中させる。
両膝を少し立て、両手は胸の少し下へ組んでいる。そんな彼女の隣へ、弥勒も座り込んだ。
それきり沈黙してしまった珊瑚へ、彼が声を掛ける。
「わざわざ、満月を見る為に此処まで来たのですか?」
「…見たかったんだから、いいだろう。」
邪魔するな、と言った雰囲気を醸し出しながら、珊瑚が小さく言った。
宿からでも、月などいくらだって見られただろうに。
もしや珊瑚は、『 一人 』 になって月を見たかったのだろうか?
「月は、何時も変わらず其処に在るよね…。」
不意に、珊瑚が呟く。
「あたし達に何があろうと、何時も、掛け値無しにその姿を見せてくれる…。」
誰にともなく、自分へと語り掛けるように。
「例え、この世が(つい)えても、きっと変わらずに…。」
悲しいような、縋るような、呟き。
珊瑚は、月で、己が心を癒そうとしているのか?
俺が、恐れや憤りを女で忘れようとするように。
何処までも、おまえは綺麗なのだな、と思う。厭味などではなく。
知っているのだ、珊瑚は。どうすれば、何者にも汚されず、その闇の渦を己の中で堰き止められるかという術を。
それに引き替え、穢れ切った俺の心身は、どうだ。
(嫉妬しているのか?この、闇を抱えながらも無垢な娘に…。)
『 惚れているんだねえ、そのおなごに。』
先程の女の声が、不意に蘇る。
結局、共に二刻ほど酒を酌み交わしただけで別れた女が言ったのだ。浮かんで消えない顔がある、と言った弥勒の言葉に対して。
(惚れたのか、俺は。)
自問してみるが、()うに答えは出ていた。女に言われる前から、本当は、判っていた。
「月は、なんで、あんなに綺麗でいられるんだろう…?」
弥勒の思考を両断するように、珊瑚の清冽な…しかし、寂しげな声が届いた。
「泣いているのか…?」
弥勒が、思わず仰向けになった珊瑚へ頭を廻らすように近付けて、問う。
「なんで泣くのさ。」
馬鹿を言うな、とでも言いたげに。
弥勒の顔へ掌を突きつけ、向こうへ追いやるように払い、珊瑚が答えた。
強がりなこの娘は、旅の途中で弱みを見せたことは未だ無い。奈落に、弟・琥珀を使われた時に見せた狼狽くらいが、その最たるものであった。
「おまえこそ、何故そのように綺麗なままでいられる…?」
気付かぬうちに、弥勒の口を吐いて出た言葉。
「はあ?あたしの何処が…っ。」
吐き捨てるように、珊瑚が言った。あたしの何処が?復讐という怨念に絡み取られた、このあたしの、何処が綺麗なままだと言うの。
「おまえは、あの月以上に美しいままだ。」
「何も知らないくせにっ!」
がば、と起き上がって、珊瑚が怒声を上げた。それから直ぐに、はっ、と我に返ったような顔をする。
「…そうやって、何時も女の人口説いてんだろ。」
バツが悪そうな表情で、話を逸らす、珊瑚。
外れてしまいたい。この話題から。これ以上続ければ、あたしはきっと、醜悪な姿を晒してしまう…。
「心外ですな。本気で言っておるのに。」
珊瑚の体を渡るように、弥勒が自分の片腕を彼女の体の向こうへやって、鼻先を近付ける。
ある意味、珊瑚の思惑通りに展開してくれた、と取れなくもないのだが。
如何せん、相手がこの法師である。道筋のずれ方が、どうにも珊瑚の許容範囲ではなく。
弥勒の両の(かいな)が、珊瑚の腰元を挟むが如く地に手をついた為、彼女の逃げる場所は無い。
「な…っ、何すんのさ、離れろっ!」
明るい満月の光に照らし出された珊瑚の頬に、みるみるうちに朱が差していく。
何も知らないくせに、と言った、切ない珊瑚の言葉と瞳。己が心の真実は、其処へ深く入り込みたいのだけれど、今の弥勒には、それが出来ない。
自分でさえやっと確信した、甘い想い。この宿業を背負った己が、まさかそんな深淵に落ちるなど、想像だにしなかった、夢現(ゆめうつつ)の狭間。なれど、その想人の心は未だ、遠い。
今は…悲しみを忘れさせるには、戯言を言うしか、出来ないのか?
否。忘れさせることなど、無理に、等しい…。
瞬間。
弥勒の両腕が珊瑚の背中へ回されたかと思うや否や、何処かへ飛んで行くのではないかと思うくらい軽々と、彼女の体が彼の胸へ抱きすくめられた。
珊瑚にも、何が起こったのか判らなかった。時間にすれば、ほんの刹那。瞬時に自分の置かれた状況を理解して、同時に怒髪天をついた。
「何やってんだっ、この馬鹿法師いいいっっ!!」
夜空に、女の罵声と、すっぱあ~ん、という実に見事な音が響き渡る。
「もうっ、冗談じゃないっ。」
肩を怒らせた珊瑚が、弥勒を見殺しにして一人で帰路へ着く。
怒っている、筈なのに。
この、早足で脈打つ鼓動は、なんなのだろう。
熱を持って放さない、この頬の紅潮はなんなのだろう。
(ああっ。もう!なんであたしが焦んなきゃいけないのっ。)
解せない高鳴りと怒りを天秤にかけたまま、珊瑚は満月の光降り注ぐ道を戻って行く。
「はあ。流石に珊瑚の平手は、効く…。」
赤く腫れ上がった頬を撫でながら、吹っ飛ばされた体を起こして弥勒が呟いた。
なかなか、一筋縄ではいきそうにもない。しかし、既に、狙いは定まっている。
ふ、と全てを見ていた満月を振り仰ぎ、弥勒が思う。
(この世が終えても、か。)
この世が終わる前に、確実に来るであろう己の終焉。
たった今抱いた明朗な思いとは裏腹の、現。
その時、自分は何をしているのだろうか。
(それでも、おまえは其処で照らしていてくれるのか?)
引き止めもせず、促しもせずに。
(恐れ慄く、憐れな者さえも?)
ただ、其処に在るだけ。
月は、何も答えはしない。
答は、己の中にある。








B.G.M. <この世の終わり> drug store cowboy


情景描写、なってないですねえ。丘の表現が、酷過ぎます。それにしても、最初のアップが "この世の終わり"なんてタイトルでいいのでしょうか。
ナンパした彼女と、何処まで絡ませるか悩んだけれど、結局弥勒の理性優先。嘘臭い。しかし、こんなに珊瑚に惚れてるとカミングアウトしててヤバくない?ウチの法師…。原作では有り得ない弥勒ですねぇ。珊瑚に至っては、未だ恋心に気付いてないみたいだし。
まあ、その辺りは妄想爆裂・管理人の好き放題って事でご勘弁を。
そして、もっと暗い話にするつもりが、どうしても茶々を入れずにいられないワタクシでありました。
何はともあれ、最後まで読んで下さって有り難うございました。

2001.06.24